雨の中、外出。
　渋谷にて洋服などプラプラと見て、気が付けば両手一杯の買い物。
　しかも結婚式に着るような、いわば水商売で使うような服ばかり。
　こんなの普通のお嬢さんは着ないだろ、みたいなのが、元々好みなのだ。
　店を辞めてからは、可愛いな、と思っても。
　着ていく所もないしなあ、と買い控えていたのにな。
　
　シフォン素材のセットアップには特に目がなくて。
　ホルターネックでラインと色がキレイだと、完全にツボに入る。
　ピンク系のと、茶系のを2セットも買ってしまっていた。
　冬にシフォンのノースリ買ってどうしようっていうのか。
　誰か結婚式にわたしを呼んでくれないかしらね。
　アンナモリナーリにも目がない。
　ヒラヒラ梳けるような花模様のワンピースも購入
　もちろんノースリ。
　そういうのを買い控えていたからか、購買意欲は留まらない。
　スーナウーナで、これまた何処に着ていくやら解からないフリルジャケット＆ワンピースのスーツ。
　黒だから、かろうじて合コンには使える、かもしれない。
　バカバカ。
　わたしのバカ。
　

　今月の月経前症候群は苛立ちらしい。
　気が立って仕方がない。
　妙に攻撃的なのだが、攻撃する相手もいない。

　なので、エステに行く事にする。
　インドエステで、ホットストーンとシーロダーラをセレクト。
　ゆるゆると癒された後、ちょっとピリっとしたくなって、足つぼマッサージもやってもらう。
　最近、ご無沙汰していたせいか、やけに痛い。
　でも、終わるとブーツがゆるゆるに。
　これだから、やめられない。

　すっかり気分も晴れやかになって、なんだかお腹も空いてきて、帰りに某ホテルで一人イタリアン。
　深夜までやっているので、アフターで使っていた店だけど、自腹も切れる値段。
　ここの渡り蟹のパスタは、酔っ払いなりにも美味しいと思っていたので、素面でも美味しいのか実験だ。
　結果は、素面でもやっぱり美味しくて、この値段なら安いとすら思った。
　
　そしてドンキに寄って、くつ下48円が目にとまり購入。
　寒くなってきたし、部屋用のが欲しかったところだ。
　ブルガリのアクアマリンのネックレス28万というのを見つけ、随分と強気な値段設定に呆れる。
　ドンキでその値段という事は、元値はもっと高いはず。
　買う人いるんだろうか？

　ここ数年、ジュエリーに目が行ってしまう傾向。
　あんまり興味なかったのに。
　歳なので、イヤリングとかネックレスで光を顔周りに集めたいと無意識に思っているのだろうか。
　まあ、欲しいと思ったところで、ローンを一切組まない主義なので、大したものが買えるとも思えない。
　なので、わたしはジルコニアで我慢するのだ。
　それで充分、それが分相応というものだろう。

　そういえば、もうすぐ誕生日だ。
　仕込んでおけば、誰かプレゼントしてくれるかもな、と意地汚い事を思ったりもするが、特別な金持ちは除き、普通の人から高額なものを頂くのは重い。
　お客さまから気兼ねなく受け取れるプレゼントは2・3万というところだ。
　友人と称する同世代のサラリーマンなら、せいぜい1万くらいか。
　それを超えると、モノで釣ろうとしてないか、と深読みしてしまうし、下品な感じすら漂う。

　ここらへんの感覚は、人それぞれかと思うので、あくまでも、わたし的には、というやつだ。
　ちなみに食事・遊行費という類の共に楽しむ消えものには、いくら金を使ってもらっても嫌悪は感じない。
　それから、付き合っている相手でサラリーマンなら月収の30％くらいは使ってもらっていいかなあ、と勝手に思っている。

　こうして下らない事を考えだすと止まらなくなる。
　妄想癖でもあるのだろうか。
　ちょっと妖しい。

　金を稼ぐというのは、ストレスも共に懐に抱くことだと思っている。
　高給なほどに高ストレスだ。
　
　店が落ち着くまででいいから。
　と、オーナーは言うけど。
　一度でも落ち着いた事なんてなかったじゃない、と思う。
　離れてみれば、蹴落とされ出し抜かれる事への危機感があるからこそ、より良いサービスを心掛けるというものだ。
　店も人も、トラブルなくして、成長は出来ない。
　落ち着かない状況、それが普通なのだろう。

　店に出たら、合コン行けなくなるもん。
　わたしが結婚出来なかったら、どうしてくれるんですか？
　などと言っていたら。

　オマエは言いたい放題やりたい放題なのに、なんで許されるんだろう、と言うので。
　それは可愛いからに決まってるでしょ、と言っておいたが、そんなわけはない。

　ママがくるとうるさいから、アッチ行って、とか。
　お姉さんより、わたしの方が好みでしょう？だって若いし、とか。
　そんな事を本気で言散らして許されるわけない。
　その為には、感じ悪いとか嫌味とか皮肉だとか思われないだけの下地づくりに労力を尽す事だ。
　ママやお姉さんがいない所では、客の前で本人達のことを褒めるのも基本だろう。
　ワガママも、相手が相好を崩すような種類のものしか言わないしやらない。
　あくまでもお客さまのそれぞれの懐の広さの中でやる事で。
　しかも、わたしが言いたい事ややりたい事では無かったりする場合が大半だけど、それが心をくすぐると踏めばやるだけのこと。
　それは、言いたい放題やりたい放題に見えるかもしれないが、サービスの一環でしかない。
　
　許される事しか言ってないのだから、許されて当たり前です、と。
　そんな事が言える立場、状況でもなければ、相手でもない。

　こんなストレスを溜めるから、イヤだっつってるんだよ!

　

　最近は、ヘンとか天然とか変わってるとか言われるのを喜ぶ風潮にあるのか？
　少なくとも、わたし自身は男女問わず、そんな風に思う人とは好んでお付き合いしたくない。
　そんなの、悪い意味でしか使わない。
　常識がない、場面が読めない、状況が理解できない、等。
　そういう人に対して使う言葉なんじゃないのか。
　それを、自分は変わっている、普通じゃない、天然って言われる等と迷惑そうなフリをしながら嬉しそうに言える人。
　あれは、全く理解できない。
　だから、変わってるとか普通じゃないとか言われるんだろうなあ、と思わざるを得ない。
　物の言い方や状況でニュアンスは変わるかもしれないけど、褒め言葉では決してないはずだ。
　頭の中に自動変換機があるのだろうか。
　そして、対応としては、本当に変わってるよね、とか、普通じゃないよね、とか言ってあげるのが良いらしい。
　わたしとしては、本人に面と向かって、常識がないよね、とか、場面が読めないよね、とか、状況が理解できないよね、等と言っているような感じで、居心地が悪いのだが。

　TVには、天然と言われる可愛い顔の女の子がいる。
　確かに可愛い。
　でも、あんなのが身近にいたら大迷惑だ。
　それに天然だから可愛いわけじゃなく、顔が可愛いから、ヘンな事を言っても許されるのだと思う。
　白痴美人には、わたしもそそられたりするが、それも女性限定。（差別用語かもしれないが、白痴美人という言葉の滴るような色気と淫靡な感じが、何とも好きなのだ。天然美人じゃあ、影がなさすぎて雰囲気が出ない）
　男だったら、同じ美男なら、スタンダートな美男の方が好まれて当然だろう。
　
　チャゲが歌っていた二人のアイランドの♪ピンボールみたいで気がおけないの、の所のような違和感を感じたので、書いてみた。
　

　もし彼がヒヨコくらいの大きさになるのなら、何の役に立たなくても一生そばに置いて離さないのに。
　

　美容液を誤って半分くらい床にこぼした。
　唖然。
　取り合えず、すくって足にベタベタ塗ってみた。
　当然、足はもっちりと潤ってくれた。
　でも、こういう貧乏臭い事をしているとロクな事はないだろう。
　人目のない場所でもエレガント、家の中でこそ優雅に美しく・・・そんな安井かづみのような暮らしは程遠いようだ。

　貧乏臭いと言えば、もう一つ。
　偽ティファールの鍋を5年程愛用していた。
　ふたはガラス、それが最近、割れた。
　耐熱ガラスの癖に、温度に負けて割れたのだ。
　でも、捨てはしない。
　偽鍋も炊飯器もミキサーも、使い終わったら所定の場所に収納しないと気が済まないので、持ち手が取り外せて容易に重ねられる鍋は重宝だ。
　ふたがなくても使えるし、収納しやすさに変わりはないので、捨てはしない。
　貧乏臭いというより、これは吝嗇か。
　

　風邪をひいた。
　叔母の家に遊びに行った時に、従姉妹の子供にうつされたらしい。
　今は、疲れる事もしていないし睡眠も充分なので、風邪をひくはずがないと油断したのがマズかったか。
　久しぶりの高熱に、一人暮らしは寂しいなあ、としみじみ。
　
　母が離婚すると騒いでいた。
　これは毎度のことなので、今更、驚きもしないが、電話でグジグジグジグジと煩い。
　離婚したって、生活できないでしょう？
　と言うと。
　家を売る、だそうで。
　自活する事は全く考えていない様子。
　考えたところで、ずっと家にいる母に出来る仕事があるとは思えないけど、専業主婦というのはタチが悪いわあ、とこれもシミジミ。
　
　紀宮さまの結婚。
　もう結婚しないのかと思っていたので、驚き。
　銀座にいた頃は、よく皇室の噂話を聞いていたものだけど、紀宮さまの事は話題にも上らなかったし。
　サーヤが結婚するよ、と就活の友人にメール。
　程なくして電話がかかってきて、やっぱりというか当然のごとく話すのは、どうしてわたし達は結婚出来ないのか。
　もう、その話題はし尽くした感がある。
　悪い所は解かっていて反省もするけど、全く次に生かされないので、やっぱり無理だね、と結論に達する。
　最近はやる気も失せていたし、就活の会は解散決定。

　元カレが風邪を心配して見舞いに来てくれた。
　リンゴジュースを作ってくれた。
　日頃は悪口ばかり言っているようなものだが、こういう時は有難いと、さすがに思った。
　しかし、リンゴジュースは変色しきっていて、如何にも不味そうで。
　この役立たず、と思ってしまったわたしは、やっぱり性格が悪いのだろうか。
　
　

　人様の余力で生きているわたしが、自らのしたい事なんてしてはいけない。
　そんな事がしたいのだったら、ここを立ち去ってからすることだ。
　最低限の礼儀は弁えておかなければ、と。
　ふとすると、金を引き出す算段を考え始める自分に、そう言い聞かせる。
　
　オンナの部分が顔を出すと、自分が空恐ろしくなる。
　常識も良識もあってしかるべき時に、ワケのわからない事をして、挙句、善意の他人まで利用しようと思うのだから。
　常識や良識というのは自らの中にしかなくて。
　他人がどう言おうが、自分がそれでいいと思うのなら、それはしても良い事。
　だけど、自分が許せないと思う事は、してはいけない事。
　そういう時に、オンナの部分でモノを考え出せば、自らの常識や良識もまた、飛躍して時にひっくりかえる。
　言ってしまえば、本能のままにこちらが本来の姿。
　でも、その前に。
　わたしは女である前に人なのだ、と。
　そう言い聞かせる。
　

　父から電話があり、はずみで何となく旅行に誘ってみた。
　思ったよりずっと、喜んでくれた。

　わたしの生活は、多くを知らない父から見ても、不審なものであるに違いない。
　だが、わたしの曇りのない幸せを信じたい父がいる限り、信じたい事が本当の事なのだ。
　自分にそう言い聞かせている父の心うちが、手に取るように解かって痛々しい。
　
　他人の50代半ばには、まだまだ若い、これからよ、と思うけど、自分の両親となると話はまったく別なもので。
　あと何年、元気でいてくれるんだろう。
　もしかしたら、わたしが生きてきたよりも、それは短いかもしれない。
　そんな事を考えると、恐ろしいくらい不安になる。
　父にはもちろんの事、日頃、憎まれ口ばかりたたいている母にも、とにかく楽しい思いばかりしていて欲しいと思う。
　本当は、そんな事よりも、わたしと弟が幸せなのが一番の親孝行なんだろう。
　ただ、わたしの望む幸せは両親がわたしに望むそれとは、どうも一致せず、特にわたしを溺愛していると言っても差し支えない父とは一致しない。
　それは仕方のない事なんだと思いつつ、父に対しては、いつもいつも申し訳なさが込み上げる。

　おまえとグアム？俺とお母さんと3人でか。
　いいねえ。
　仕事？休む休む。

　内心の黒い影を振り払うように明るく言う父。

　わたしは父親似だ。
　もしかしたら、父もまた、わたしの心うちを見抜いているのかもしれないな、とも思う。
　その上で、気を使ってくれているんだとしたら、やりきれない。
　でも、それなら父があまりにも可哀相で。
　そんな事ない、と。
　わたしもまた、信じたい。

　今度、実家に帰るときは、父の為になるべく野暮ったい格好をして帰ろう。
　それで、少しでも父の気持ちが不安から解放されるのならいいのだけど。

　この歳になって、まだ親に心配をかけるわたし。
　情けない。

　出るのは溜め息ばかり。
　いけない、いけない、と思いながら、ちょっと意識を彷徨わせれば自分の溜め息でハッとする。
　溜め息を一つつく度に、幸せが一つ逃げていく。
　もし、それが本当だとしたら、わたしは今日どれ程の幸せを逃がしたのだろうか。
　そんな事を思えば、また溜め息が出る。
　こうしている間にも。

　つい煙草に手が伸びる。
　吐き出す煙は溜め息じゃない。
　こんな時にも素晴らしい気分にしてくれるという薬。
　ここにあれば、手を出しかねないような気分。
　時間がどうにかしてくれるのは百も承知で。
　それでも今。
　この晴れない気分と罪悪感を、今すぐに晴れやかな気持ちに変えたい。
　今すぐに、だ。

　10分しか待たない。
　そんな急な呼び出しにも対応可能なのが、わたしの強みでもある。
　軽くパウダーをはたき、眉と唇に色を乗せ、パジャマを着るようにスーツを着れば用意は終了。
　そんな風にして待ち合わせ場所に出向く。
　
　祭日の飲み屋街は閑散としているものの、それでも賑わう店はあり、景気が悪いと言っても金はいつもどこかに存在している。
　誰にも内緒にしてね、と、お客様に言う。
　日本に戻ってないことになっているの、と。
　あなただけは特別なのだと。
　そう思わせるのは、そんなに難しい事ではない。
　
　軽く寿司をつまんでから、六本木の老舗ショーパブに似たような感じの店に行く。
　金も社会的地位もあり、そして人柄も良い人と一緒に心穏やかに過ごす時間。
　それが、わたしの毎日。
　わたしが自ら欲して、貪欲に望んだもの。
　手放す必要もなければ、理由もない。

　全ては左脳で考えれば良い事。
　最優先するのは、心地よさ。
　そして、損得。
　自らのメリット。
　わたしは女なんだから、それを最大限に生かして恩恵に預かればよい。
　物事はシンプルに考えるに限る。
　すると答えは簡単だ。
　方程式のように、結論までの手順さえ掴んでしまえば、面白いくらいに簡単なのだ。
　理数系でないわたしには、なかなかに難しいが。
　
　でも、わたしにしては上手く泳いでいるのではないか。
　こうして維持している毎日に、そう思う。
　間違ってなんかない。
　幸せなんだ、幸せ、幸せ。
　言い聞かせるように、そう思う。
　わたしは幸せ、幸せ、シアワセ。
　

　生暖かさと湿った空気はわたしをおかしくさせる。
　ここにいる。
　それは悪夢だ。
　でも、それでも夢なら覚めないでほしいと思う。
　
　わたしもここに残る。
　半ば強引にそう決めたのは、いつの日だったか。
　そうして過ごした数ヶ月。
　彼はいつも帰れと言っていたけど。
　ごく稀に帰らないでくれと言った。
　
　彼に対する様々な気持ちというのは、時間の経過と共に忘れていく種類のものではなく。
　例えるなら瞬間冷凍したようなものだろう。
　解凍するツールさえあれば生々しく当時のままの姿を現す。
　だから。
　これが現実で、この何年かが夢だったような妙な感覚に苛まれるのだろう。
　でも、わたしは明日には戻るだろう。
　淀んだ空気の中で彼を見ながらそう思った。
　残念だけど、本当に残念だけど、したい事と出来る事の違いは嫌になる程に思い知らされている。
　そういう思いもひっくるめて冷凍されているのだ。
　
　明けない夜はないとよく言っていた彼の明けない夜。
　再び朝が訪れる事はないのだろうか。
　いつかまた、会える日がくるのだろうか。
　
　そして、わたしは戻り一人で朝を迎える。
　何も思い出したくはないような気分で。
　そのくせ、何一つ忘れたくないような気分で。
　

　元上司。
　彼は今でも時々メールをくれる。
　それは、嬉しいようで嬉しくないような、そんな気分。
　肉欲を満たしてくれる技量が彼にあるのなら。
　その事を想像しただけで、カラダがウズっとしたりするだろうに。
　セフレの解禁される日はまだ遠い。
　
　女に必要な男は3種類。
　心とカラダと金を満たしてくれる人よ。
　そう言った艶やかなママの横顔をふと思い出す。
　銀座に出て、一番最初にお世話になったそのママは、30代前半とはとても思えないような迫力と、女のわたしでもゾクっとするような滴るような色気の着物姿の美人だった。
　店が終わった後のバーで、よくそんな話をしたような気がする。
　一人の男に全部求めようっていうのが間違いなの
　要は上手に使い分けなさいってことね。
　それからね。
　と、ママは言った。
　これがダメならコッチっていう用意も必要。
　だから3人の男じゃなくて、3種類の男なのよ。
　
　そして思う。
　わたしの心も財布も満たしえない上司は、カラダを満たしてくれる人でもない。
　それならば用がないのだ、と。

　男と女は合意の上で寝るのだが、合意の上で寝るのを辞めるのは難しい。
　「あなたとは、ずっと親しくお付き合いしていきたいから、そういう関係にはなりたくないの。」
　そんな逃げの常套文句もあながち嘘というワケでもないようだ。

　欲しかったシャネルのバックを探し出した。
　10万5千円で新品未使用品が名古屋にあったので取り寄せてもらった。
　いや、探した探した。
　ブランドの本も買って、インターネットで一店ずつ見て回ってやっと見つけたのだから、もちろん即買い。
　この根性を他に向ければ、人生ちょっとは違ったものになるのかもしれないなあ。
　こんなに寝ても覚めても欲しいと思ったものは久しぶりだったので、大変な満足感。
　カルティエの宝石時計以来だろう。
　時計はケタが違いすぎて手が出なくて諦めてしまったので、今回はどうしても手に入れたかったのだ。

　しかし、大いなる誤算が待っていた。
　そこには同じくらい可愛いバックが取り揃えてあったのだ。
　?白革とゴールドのチェーンでピンクのウールのような生地に白い縁取りバック
　?ネイビーのデニムっぽい生地に白い縁取りの?の色違い
　?ピンク系と茶色系のスエードがパッチワーク風になっている四角い形のもので持ち手は茶色の革とシルバーのチェーンのバック
　?黒エナメルにシルバーの金具に細いシルバーチェーンのバック
　シャネルマジックにかかってしまったかのようだった。
　この機会を外したら巡り合えないかもしれない。
　でも・・・と。
　?だけは迷いに迷ったが、エナメルだからすぐに傷を入れそうだと思い留まる事が出来た。
　が、他の3点については、ピンクは元々好きだし、白とネイビーの取り合わせは品が良く見えるので大好きだし、パッチワーク風のは同じような配色に赤が入った靴を持っているので、それに合わせてみたい衝動を押さえきれなくて購入を決意。
　我ながら、良い買いっぷり。
　それでも、あの欲しくて仕方なかった宝石時計の3分の1にも満たないし、などと自分に言い訳などしてみてから、占めて4点もお買い上げ。
　・・・向こう3年くらいは、バック買わない事にしよう。
　シャネル、恐るべし。
　
　

　賞味期限が切れてしまったヨーグルトを全身に塗りたくってヨーグルトパック。
　お手軽に肌がスベスベになるので食べるよりも効果的だろう。
　でも、ちょっと乳臭いのが難点。
　洗い流しても匂いが残る気がして、出かける用事のある日は出来ない。
　赤ちゃんの匂いといえばそんな感じだろうか。
　すっぱい乳製品の匂いがする。

　最近、肌の事ばかり気になる。
　弟の結婚式までに白い肌に戻さないと、せっかく購入したアルマーニのビーズのドレスが着られないので必死なのだ。
　黒いドレスの最大のアクセサリーはヌメるような白い肌。
　全身用ファンデーションがあるといいのに。
　いつかテレビで即席タンニングマシーンというのを見たことがある。
　全裸でボックスに入ると色付きミスト状が四方八方から噴射されて、出てきた時にはコンガリ肌になるというもの。
　4日くらいは持つらしい。
　そのミストを白めのものに変えた、即席色白マシーンというのも作ってくれないものだろうか。
　あったら絶対ヒットすると思うんだけどなあ。
　ちょっと肌に悪そうだけど。

　CMで思い出したが、観にいった事があった。
　あの頃もCMでバンバン流れていたので観にいきたいな、と思っていた所、丁度、父に招待券が来ていたのでそれを譲ってもらって、会社の2つ上の先輩と行く事にした。
　会社が終わってから車で行くと、そこまで電車だと間に合わないから車で行こうね、という事になったのだが、約1時間30分もかかる遠い場所。
　わたしも先輩も車を持っていたけど、会社⇔自宅専用車のようなもので、そんな遠く行ったことがなかった。
　先輩は怖いだろうに「わたしが運転するね」と言ってくれてたので、わたしは助手席に座っていたのだが。
　高速道路に乗るのも初めてで、先輩が緊張しているのが解かったので私も先輩の愛車ゴルフの助手席で固まってしまって、無事に現地に付いたものの、それだけでかなりの疲労。
　そして、席は一列目のVIP席。
　楽しみだね、なんて言っていたものの。
　いざ上演が始まると、平静な表情に反して苦しそうな腹筋の揺れや滲む汗までリアルに見えてしまい胃が痛くなってしまった。
　いや、凄いとは思ったし、肉体の芸術だとも思った。
　でも辛そうで見ていられない・・・
　わたしは途中で気分が悪くなり、食べたアイスクリームを戻してしまった。
　それからずっと後になってからだけど、先輩も「実はわたしアレグリア見に行った時、具合悪くなって吐いちゃったんだよね。運転でガチガチに緊張してた所に、和むつもりで観にいったアレグリアは拷問みたいだったし。」と言っていた。
　
　アレグリア、今度は少し離れて観てみたいものだ。

　母が弟の結婚式の為に東京在住の親戚分の飛行機のチケットの手配をしろと煩い。
　「そんなの自分でやらせれば良いでしょう？どうしてわたしがやるのよ。」
　と言うと。
　「あの子は何にも出来ないんだから仕方ないでしょ。」
　と、当然のように言う。
　「じゃあ、暇持て余してるんだからお母さんが手配しなよ。」
　と言うと。
　そんなのやり方が解からない、だそうで。
　ああそうですか。
　自分の旅行はさっさと手配してる癖に、何を言っているんだか。

　本当は、わたしのカードで引き落とせばマイル溜まるからわたしにも好都合なのだから、手配そのものは別に嫌でもなんでもないのだ。
　だけど、もしわたしが結婚するとなっても、母は全くの無関心という事はないにしても、こんなには心を砕いてはくれないだろうと思うと、思わず意地の悪い言葉を浴びせたい気分になった。
　そのまま言うと母は泣き出すので、こういう風に何かにかこつけて他の事にすりかえて言う事にしている。
　嫌な女、本当に嫌な女だ。
　母が悪いとは思っていないのに、無性に腹立しいような気分になって、こんなふうに時々は自分を抑える事が出来なくなる。
　明日もし母が死んだとしたら、わたしは後悔なんて言葉じゃ済まないくらいに深く悔やむだろう。
　なるべく意地悪を言わないよう、そっけない態度を取らないよう、と思っているのに。
　この人は母じゃなくて近所の叔母さんだと思えば、恐らく簡単に出来る事なのだけど。
　母が母である限りはわたしに攻撃される運命なのかもしれない。
　可哀相なお母さん。
　ごめんね。
　

　美白化粧品だけじゃ肌色が戻らないのでイオン導入機を購入。
　美顔機だけど、カラダに使っても問題ないだろう。
　これでビタミンC誘導体をガツガツ肌に入れたら少しは色白になるはずだ。
　ちょっと高かったし、使うビタミンC誘導体も高いけどエステに通う事を考えたら安上がりだ。
　
　東京駅の大丸に行ってきた。
　コーヒーを飲みながら本が読めるので、ちょくちょく通う場所。
　何でも良いから読みたい時は図書館に行くけど、新刊が読みたい時は大丸。
　いつかは温泉街の図書館の近くに住みたい。
　いや、待てよ。
　いつかじゃなくて、何にもしてないんだから今でも良い事に気が付く。
　毎日温泉でのんびりして、好きなだけ本を読む。
　最高。
　そろそろ引っ越したいと思っていたし、良いかも。

　SATCでシャーロットの持っていたパーティバックがとても可愛かったので欲しくなって画面を一時停止したらシャネルだった。
　でも欲しい。
　定番じゃないので、店頭にはおそらくないだろう。
　何処に売っているんだろう。
　大黒屋か？
　でも中古は嫌だ。
　新しいのが欲しい。
　一見シャネルとは解からないデザインで、チェーンの部分が白い皮とゴールドで夏のワンピースにも合いそうだし、これからの季節でもピンクのコートには合いそうだ。
　どうにかして探し出して絶対手に入れたい。
　でも20万以上するようだったら諦めるが。
　
　元カレと汐留で食事。
　欲しいものがあるの、と言うと。
　散々買ってあげたでしょ、もう何も買わないよ、と言われたので。
　じゃあ、アナタの彼女にも時々貸してあげるから半分出して、と食い下がるも相手にしてくれないので、別れた女にエサはやらないってコト？と逆切れしてみた。
　こんな女とは別れて正解か。

　TSUTAYAまで徒歩圏内な事が判明。
　タクシーに乗って通った日々はなんだったんだろうか。
　まあ良い、終わった事は忘れよう。

　旅行でSATCの海賊版SEASON3を買って来たのだが、日本語字幕はなくて当たり前だけど、英語の字幕も出なかった。
　一枚100円だから贅沢は言えないが、勉強がてら意味を調べながら見ようと思っていたのに、何て言っているのかすら解からなくてお手上げ。
　それでも、キャリーのバックと靴とシャーロットの美人っぷりで充分18話を楽しく見終わった。
　洋服は好みじゃないが違うけど、マノロの靴は本当にキレイだ。
　あんなキレイな靴を10足も20足も並べてみたら幸せだろうなあ。
　でも勿体無くて履けないかな。
　ヒールに傷でもつけたら、ドッと落ち込んでしまいそうだから、きっと履けない。
　マノロ一足でダイアナの靴が7足くらい買えるしな、なんて考える貧乏人にはマノロを履く資格はないという事だろう。
　でも、見てると幸せになる。
　怖くて履けないけど、やっぱり欲しいなあ。
　飾るだけでも幸せな気分になるんじゃないかなあ。
　いやでも、そしたら絶対に履いてみたくなるだろう。
　で、マンホールの穴かなにかに突っ込んでガックリするのだ。
　やっぱり怖くて買えない。
　と、そんな感じて見終わったはいいが、内容は別れたとかくっついたとか、それくらいしか解からない。
　靴とバックも良いけど、あの女同士のお喋りシーンも好きなのだ。
　このままでは消化不良を起こしそうだったので、レンタルしに行ったというわけなのだが。
　DVDは貸し出し中でなかったので、結局SEASON4のDVDを借りて帰ってきたが、それを見ていてもやっぱり消化不良のSEASON3が気になる。
　もう一度、気をつけて見てみようとしたけど、YES・NO、Thank　you程度しか聞き取れない。
　お粗末もいいところ。
　情けない。