あの妖艶な人に

　仕事でも大事に育ててもらっている。
　東京にいたとき、最初のママが。
　あなたはいつか人の上に立つ子だとそういえば言っていた。
　入ったばかりの新人をつかまえて何を言っているのかと聞き流していたけど、流れ流れつつホントその通りになっちゃったなぁ。
　あの凄まじく色っぽかったママは元気にしているのだろうか。
　最後は対立してしまったけど、それでも一緒に働いていた間にあの人がしてくれたことには今も感謝している。
　普段行けないような場所に連れて行ってくれたのも彼女だし、男性を制御する術を教えてくれたのも彼女だ。
　今はわたしのこと嫌いか忘れているかだろうけど、わたしは妙に会いたい。
　許してはもらえないのだろうけど。