夢の跡

2004年11月2日
 生暖かさと湿った空気はわたしをおかしくさせる。
 ここにいる。
 それは悪夢だ。
 でも、それでも夢なら覚めないでほしいと思う。
 
 わたしもここに残る。
 半ば強引にそう決めたのは、いつの日だったか。
 そうして過ごした数ヶ月。
 彼はいつも帰れと言っていたけど。
 ごく稀に帰らないでくれと言った。
 
 彼に対する様々な気持ちというのは、時間の経過と共に忘れていく種類のものではなく。
 例えるなら瞬間冷凍したようなものだろう。
 解凍するツールさえあれば生々しく当時のままの姿を現す。
 だから。
 これが現実で、この何年かが夢だったような妙な感覚に苛まれるのだろう。
 でも、わたしは明日には戻るだろう。
 淀んだ空気の中で彼を見ながらそう思った。
 残念だけど、本当に残念だけど、したい事と出来る事の違いは嫌になる程に思い知らされている。
 そういう思いもひっくるめて冷凍されているのだ。
 
 明けない夜はないとよく言っていた彼の明けない夜。
 再び朝が訪れる事はないのだろうか。
 いつかまた、会える日がくるのだろうか。
 
 そして、わたしは戻り一人で朝を迎える。
 何も思い出したくはないような気分で。
 そのくせ、何一つ忘れたくないような気分で。
 

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

この日記について

日記内を検索