長電話

2004年9月12日
 起きてる?
 と地元の彼からメールが来たので、うん、と返して長電話に突入した。
 男の癖にお喋りな彼の電話は相変わらず長い。
 
 どうしたの?元気ないね。
 と、言うと。
 やはり結婚の事で。
 もうここまで来たら、悪あがきに等しい感がある。
 
 いずれは、歳を取って弱気になる時もくるのよ。
 そんな時、手近な所で間に合わせようとするものでしょう?
 それよりは、今、あなたみたいな人と何年も付き合ってくれた彼女を選んでおいた方がいいと、わたしは思うけどなあ。

 そんなもんかな。
 そうよ、そんなものよ。
 
 でも俺、他にも素人でわりと長い女が2人いるんだよ。
 そいつらが聞き分けてくれるとは思えないし、どっちもいい歳だし、痛くねえかな。
 
 連絡しなかったらいいんじゃないの?
 ウチの弟は結婚決まってから、携帯変えたよ。
 この際だから、そうしたら?
 で、ついでにわたしも消去して欲しいんだけど。
 
 オマエは関係ないじゃないか。

 関係大有りよ。
 どれだけ、あなたの事が好きだったと思ってるの?
 今だって、当時を思い出したら泣けてくるわよ。
  
 じゃあ、オマエは俺と今更やり直すつもりがあるのかよ。
 そんなものないくせに。

 当たり前でしょ。
 でも、古傷が痛むってやつかしらね。
 思い出したくない事ってあるじゃない。

 俺にどうしろって言うの?
 連絡するなって?
 でも俺、勝手に電話するしメールするからいいよ。
 オマエが無視してればいいよ。

 なによ、それ。
 あなたに少しでも、優しさってものがあるんだったら、そんなコトは出来ないと思うんだけどなあ。
 
 優しくなくて結構。
 俺は俺のやりたいようにやる。
 オマエは、俺が長い間かけて手がけた俺の作品みたいなものなんだから、愛着も執着もあって当然でしょ。
 
 なにが作品よ。
 壊されそうになった覚えはあっても、手をかけられた覚えはないわよ。
 そんな失礼な事を言うなら、本当に絶交するからね。
 
 それは勘弁してよ。
 もう言わないから。
 ね、ごめん。
 ホラ、謝ったんだから、機嫌直して。
 俺だって人並みに無視されると堪えるんだからさ。
 
 あ、機嫌悪いの解かった?
 実は生理中でイライラしてたの。
 言い過ぎた、ゴメン。
 
 いやに詰めるなあ、と思ったら、そういう事か。
 でも、本音が出るんだろうね。

 うん。
 何らかの気持ちは残ってるんだけに余計かな。
 
 だったら、戻ってみる?

 それもいいかもね。
 
 じゃあ、帰って来いよ。

 じゃあ、迎えに来てよ。

 本気か?

 うそ。
 
 よっぽど信用ないんだな。

 ないねえ。

 絶対戻れない?
 
 絶対っていうより、願わくばって感じかな。

 なに、それ。

 願わくば、あなたを選ばないわたしでありたいって事。

 なんだよ、それ。

 さあ、なんだろうね。

 俺のこと嫌いって事?

 ううん、好きだと思うよ。
 今日は、やけに詰めるね。
 どうしたの?

 俺も生理なんだよ。
 
 それ、面白くないんだけど。

 生理で胸が痛いから、もう寝る。
 
 そうね、もう寝よう。

 おやすみ。

 うん、おやすみ。
 と、電話を切って。
 今日も不完全燃焼。
 さっさと結婚してしまえ。
 

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