恋愛という名の仕事

2004年2月12日
 バレンタイン前という事もあり、チョコを渡すついでに、お客さんと青山でランチ。
 その後、その人が関わったという、六本木ヒルズ近くのマンションを見物に行く。
 そのマンションで、モデルルームを公開していたので。
 「見た〜い」
 と、営業の人を捕まえて、部屋に案内してもらう。

 と、親子と言うには、ほんの少し年が近すぎるし、恋人というには少し年が離れすぎているし。
 やっぱり愛人だと思われただろう。
 
 でも、その部屋に入ると、わたしたちのような人が沢山いて。
 怪しげな雰囲気を醸し出していた。
 このマンションは、普通のサラリーマンじゃ、買えないし。
 でも、金持ちがわざわざ買う程、ゴージャスなわけでもない。
 ホテルのツインくらいの広さ。
 内装はシンプルだが、所々が値段の割りに安っぽい。
 いわゆる、愛人用マンションってやつなんだろう。

 「お二人はどんなご関係ですか?」
 と、営業の人が聞くのには、ビックリしたが。
 明らかに冗談と解かるように。
 「親子です」
 と応えると。
 これまた、ビックリした事に。
 お嬢様にとって安全だ、とか、今はご実家にお住まいですか?
 などと、言い出した。
 多分、嘘〜、とか言っちゃいけないと、マニュアルにあるのだろう。
 ご苦労サマだ。
 買わないのにね、マンションなんて。

 「よし、買おうか!」
 と、お客さんが、冗談っぽく言うので。
 「ローンはお前が払え、って言うんでしょ?」
 と、応えると。
 「君の今後の対応によっては、本当に買っちゃうよ。」
 ですって。

 そのお客さんには、2ヶ月くらい前から、旅行の誘いを受けていて。
 大好きという訳ではないが、充分、尊敬に値するお人柄。
 見た目もいいし、一緒にいても楽しい。
 ただ、進んで寝たい、は思っていないが。
 寝ることが出来るだろうとは、思う。
 
 初めて、客と恋愛したのが、去年の初夏だった。
 あれから半年。
 結構、お客さんも、恋愛の対象として見るようになってきた。
 セックスをするにあたって、許容範囲が広いことは、仕事上、大きなメリットになる。

 が、しかし、それが広がりつつある自分が、怖くなってきたのだ。
 戻れない領域に足を踏み入れつつある、と。

 夜の世界では、起こる恋愛は、不倫が当たり前になる。
 まれにそうじゃない場合もあるが、大半が不倫だ。
 誰も不道徳だと言いもしないし、思いもしない。
 それが常識だから。
 一夜限り、というのも、当然のように起こりえる。
 兄弟・姉妹だって珍しくない。
 そんなの、ただの酒のつまみ程度の話にしかならない。
 二股という言葉さえなく、同時進行もあたりまえで。
 揉め事を起こさない、という最低限のルールはあるが。
 逆に、それさえ守っていれば、咎められる事は何もないのだ。

 その常識が、身体に染み付いてしまった時。
 得るものも大きいが、大事なものを失う事になるだろう。
 もう、ギリギリのラインだというのが、自分で解かる。
 明確な境界線などないが、じわじわと、しかし最近急速に加速している。
 
 仕事として、恋愛する女。

 そうなってしまいそう。
 好きなものは、仕事にはしちゃいけない、と言うことなのかもしれない。
 

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