後ろを振り向けば

2004年3月15日
 元彼の親友、Mさんからの電話。
 彼女の事で悩んでいるらしく、その話メインだったのだが。
 どうしても、彼の話題も出てしまう。

 聞く度に。
 未だに込み上げる涙。
 駆け巡る思い出。

 出会ったばかりの頃。
 「星に願いを」を奏でるオルゴールをくれた彼。
 後々、彼との事で行き詰ると、それをよく聴いていた。
 今も実家のわたしの部屋に、あるのかな。
 
 虹の松原。
 初夏の眩しいくらいの日差し。
 隣には、大好きな人がいて。
 幸せだと、本当に幸せだと思った。

 家出同然に一人暮らしを始めたばかりのわたしの、布団しかない部屋で。
 一人用の布団に並んで眠った。
 フローリングに敷いた布団は眠りにくくて。
 それでも、隣に大好きな人がいるわたしは、あの時も幸せだった。

 遠出した帰り道。
 道に倒れているお婆さんを見つけて。
 気になるから戻ってもいい?と。
 一斜線の道をUターンして戻る彼。
 優しい彼。

 明け方の5時に、いきなり尋ねてきて。
 顔が見たかった、とだけ言って。
 また2時間30分かけて家に戻った日もあった。

 全部は信じていなかったが。
 半分は信じていた。
 この人の母親のようになりたいと願った。
 この人が何をしても、どうなっても、最後まで見届けたいと思った。
 
 水着を着たまま地元の海に行き。
 泳げないわたしの浮き袋を掴み、沖の方まで連れて行ってくれた。
 小柄で細身の彼だけど、スポーツは万能だった。
 その時の彼の水着、まだ捨ててない。

 両親の旅行中に家に泊まりに来て。
 同級生の子が中学生くらいで、本当は親の立場でもおかしくないのに。
 俺っていい年して何やってんだろうって笑う、若く見えても本当はいい年の彼。

 Mさんの船にも行った。
 Mさんの親戚の子供と仲良く遊ぶ彼。
 優しい声と笑顔。
 この人と結婚しても、きっと幸せだと思った。

 夜中のスコールの中、彼の無事をひたすら祈る。
 あの人を呼び出す携帯の音に、死の恐怖に、毎日怯えた。
 いっそ死んでしまえば、死ぬかも、と怯えるよりマシかとさえ思った。
 だけど、あと一日でいいから。
 この人と生きていたいと願った、鮮やかな色彩の小さな島での日々。
 
 去年の再開。
 その後の後味の悪い、フェードアウト。
 
 涙が止まらない。

 わたしはいつまで、こんな事で泣くつもりなんだろう。
 あの頃、あんなに望んだ穏やかさの中で生きているのに。
 いつまで、自ら混乱に戻りたいと願うんだろう。
 
 それを後向きと言うのだろうか。
 少なくても、前向きではない事は確かだ。
 それでも、振り返らずにはいられないのだ。
 思い出さずには、いられないのだ。

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