嬉しい驚き

2004年5月13日
 最後の一年と半年、一緒に働いていたママは、悪い人ではないが、あたりが強く。
 女の子はそれに辟易して、次々にリタイアしていった。

 わたしも、彼女と敵対するオーナーに可愛がられていたという事で、散々な目に合わされた。
 新しく、自分の知り合いの子などを入れ、メインで使い。
 わたしの事は、使えない女呼ばわりをして、排除しようとしていた。

 が、彼女の客を咥え込み、彼女の客にリクエストされるようになれば。
 自然、彼女はわたしをヘルプに使わざるを得なくなり。
 やがて、わたしを使って客を呼びたいと思うようになり。
 すると、わたしの事が必要だから、キツクは当たれくなり。
 関係は至って良好になった。
 めでたし、めでたし。
 ・・・なんて事は、あるわけがなく。

 そうすれば、自然、自分の入れた女の子が、同伴しない事、客にリクエストされない事が。
 とても不満に思えてきたようで。
 今までとても可愛がっていた女の子に、キツイ態度を取り出した。
 初めは、ママも、わたしの時とは事情が違うので、自分の入れた子たちには、仕事上、目についた所を注意するだけだったが。
 でも、その子たちにしてみたら、今までと同じ事をしているだけなのに。
 なんで、いきなり?ってな感じで、誰一人、なにも変わらない。
 自然、彼女の中に、苛立ちが生まれ、その子たちの事が気に喰わなくなり。
 わたしの時と同じような事をはじめてしまった。
 
 同じモノを言うのでも、言い方ひとつで、受け取り方が変わる。
 同じ注意をするのでも、不快の感情に任せて言ったのでは、誰も素直になんて聞けない。
 ママの言っている事は、正論かもしれないが。
 女の子に、良くなって欲しいと願って言っている事とは、とても思えなかった。
 ママの為を思えば、その事を言ってあげるべきだったんだろうけど。
 わたし自身は、ママとはプライベートでも会うくらい仲良くなっていたけど。
 仲良くしつつ、ママは0か100か、のどちらかしかない人なんだろう、と思って見ていた。
 わたしは、顔や態度、そして言葉にも出さないけど。
 腹の中では、この人は単純な人、と位置づけていたので、スルーしていただけ。
 そして、ママの入れた女の子たちとも、わたし自身はやっぱり仲良くしていた。
 ママがあんまり追い詰めるので、卑怯な反逆にでたりしたが。
 彼女たちは、普通の良い子たちだったと思う。
 ママさえ、彼女たちが入店した時のママだったら、なんら問題なく、今でも在籍していてくれたと思う。
 
 そんなママにも、まあ、良い部分というのはあり。
 自分の入れた女の子と、わたしが仲良くしようが、そこには干渉はしない。
 それくらいの理性は利かせる事は出来る人なのだ。
 そんな事が良い部分?と思うかもしれないけど。
 嫌いな子を嫌いと言わないなら、その子も嫌い、って言うような人が当たり前に存在する中では、素晴らしい美徳だ。
 そして、腹の中では、ママに対して全然信用を置いてないわたしなのに。
 多分、全面的に信頼して、頼りにしてくれて、ありえないくらい親切にしてくれた。
 見たこともないような良い人に様変わりだ。
 だから、彼女が日々、感謝している人間。
 自分のお客サマ。
 彼らには誠心誠意。
 本当にその一言しかない。
 色恋で売っている人ではないので。
 そのサービスは、サービス業のもっとも基本的なものだけど、誰しも忘れがちな。
 感謝の気持ちに溢れていて。
 その証拠に、お客さまのグチなんて、内輪でも、絶対言わない。
 金の為に、嫌いだけど、引っ張れるだけ引っ張ろう、という女性も多々いるし。
 そんな気持ちからか、そのお客さまが帰った途端、あのエロジジイと、吐き捨てる人もいる。
 だけど、彼女は絶対にそんな事は言わない。
 彼女が言葉にしない、と言うのは。
 思っていない、という事。
 言葉と心が、良くも悪くも、いつも一致している人なので。
 心根から、いつもいつも感謝しているのだと思う。
 凄い事だと思う。
 頭が下がる。
 もちろん、ママはプロだから、話術も接客も、わたしとは雲泥の差だったけど。
 そんな事よりも、お客サマへの感謝の気持ちというのが。
 わたしもこうありたい、と思えるような部分だった。
 
 
 そして、ここからがメイン。
 今日、店を終えたママと合流し、軽くビールを飲みながら、お菓子をつまんでいた時。
 話は自然、店の事になるわけだが。

 今は、店の女の子も、総入れ替えの状態で。
 週に2・3回のバイトが殆どで。
 まあ、素人臭いのを売りにするしかないような状態だし。
 何ヶ月か前に、自分の入れた女の子に陥れられそうになったりした事もあり。
 ママも新しい若い女の子達には、優しくしている。

 最近の悩みの種は、オーナーが入れた彼の知り合いの女性。
 この女性、悪い人では、やっぱり全然ないのだけど。
 すること、なすこと、全て的を外しまくり。
 客席でも、失礼の連発で。
 失敗しても、言い訳ばかりを繰り返し。
 それも訳の解からない的外れな言い訳ばかりを繰り返し。
 わたしの中でもカテゴライズは、「普通に生活しているんだろうけど、ちょっと変な人」
 まあ、そんな事を思いつつも、わたしは平気で、ニコニコと付き合っていけるんだけど。
 
 でも、やっぱり、そんな彼女だから、ママがイライラしないわけがなく。
 イライラを顔と態度に出しまくって。
 彼女の言う一言一言が、気に喰わない状態が続いていた。
 だけど、オーナーの知り合いだから、言いつけられたら困るので、そこまで徹底的にやるわけにもいかず。
 イライラしつづけていたのだ。

 口では、まあまあ、となだめつつも。
 まあ、あれでは、仕方ないかなあ、なんて思っていた。

 ところが、今日。
 ママが。
 「わたしね、GWにね、○○さんの本を読んだのよ。(○○さん、とはママのお客さまで、自己啓発の本を書いている、ステキな男性)
 それでね、考えたの。
 わたしが、イライラして、口も聞かないから、あの子が怯えて、余計変な事を言ったり、したりするんじゃないかなって。
 考えたら、あの子が悪気がなくて言ってる一言一言にも、過剰反応しすぎてるような気がして。
 だから、一度、あの子への気持ちをゼロに戻して、普通に接してみよう、って思って。
 もちろん、注意すべき事は言うけど。
 でも、言ったあとは、気持ちをニュートラルに戻すように努力してるの。
 そしたらね、あの子、大分良くなったし、そしたらね、わたしも気分良くなったよ。
 好きにはなれないけど、必要以上にあの子にイライラするのは、自分も嫌な気分になるもんね。
 人を嫌いって思うのって、やっぱり、悲しい事だもんね。」

 わたしは。
 本当にビックリした。
 この人が、そんな殊勝な事を思うなんて。
 イライラしながらも、優しくする事が、出来るなんて。
 今日の今日まで、感情を抑えられない人だと思っていたのに。

 もしかしたら。
 このママの事が、本当に好きになるかもしれないな、と思った。
 お店を辞めても、ずっと付き合っていこうね、と言われていて。
 今日の今日まで、内心、さあどうでしょう?なんて思っていたんだけど。
 
 その言葉が、今日だけのものでないのなら。
 いつも、そんなふうに考えるママなら。
 大好きになると思う。願わくば、そうなりたい。

 わたしだって、今ではわたしにこんなに親切にしてくれる人に対…

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